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2011.10.30どろっぷ
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古民家再生 新たに生れ変わるライフ空間

古民家に住みたい人のために開催された古民家移築体験会に参加してきました。
この古民家再生体験会は2009年12月中旬~今年2010年の4下旬にかけて全4回の体験会が、田空間工作所さんにより開催され、最終回では桜の咲く季節にあわせて完成見学会を開催しました。今回、古民家がどのように生まれ変わり、新たな建物へと再生されていくのか、作り上げられていく楽しさも一緒に体感しながらおいかけました。

基本情報
富士見町瀬沢新田築90年の旧A邸を同町高森観音堂前へ移築再生
移築先の高森は小淵沢ICから車で8分、JR信濃境駅から車で5分
木造2階建
延べ床面積 129㎡(38.95坪)
宅地面積 403.04㎡(122坪)
高森は「諏訪地方にもこんな良いところが残っているのか」と言うほど素晴らしいロケーションです。

古民家移築とは?
古い民家を解体して新しく立て直し生まれ変わらせるものを古民家再生といいます。
もとある場所から別の場所へと移しながら建てることを移築といいます。
今回の建物はもとある場所から解体され、使える材料はそのまま使い、足りないところは新しい材料を使って新しく建物を建てています。

第1回  - 垂木削り・塗装体験・基礎 ―

田空間工作所 工場(長野県諏訪市四賀)で古材の刻みと塗装を行いその後、富士見町高森に移動して建物の基礎を見学しました。

はじめに今回の古民家再生に関する資料が配られました。表紙にはきれいな桜が咲いている完成予想図のパース画が描かれていました。これを見ているだけでも完成が待ち遠しいです。

完成予想図

さらに解体前の平面図、移築後の平面図、立面図、仕上表など資料載っています。お家を建てるときはこの図面を見ながらこの部屋はどうする?など話しをするときが楽しみの一つでもあります。

古い民家を解体して再び建て直すのが古民家再生になりますが、解体した柱や梁はそのままは使えず、手入れが必要になります。何十年もの長い間に柱や梁に積もったほこりをきれいに洗い流し、虫が食べてしまっているところは削って補修をします。今回はすでに解体され、きれいに手入れがされた状態になっており、一部の材料の塗装を体験しました。

解体中の様子

立派な柱

 

さっそく塗装を体験。

お手本をまずはじっとみて観察。簡単そうにみえて実際にやってみるとなかなかむずかしい。刷毛に含ませる塗料の量や、刷毛の動かす速度、もたもたしていると、どんどんそこだけ塗料が染み込んでしまいます。使っている塗料はモクタールという炭を作るときにできる液体とエタノールを混ぜたもの。においは燻製に似た匂いがしますが、しばらくすると匂いも取れてきます。これを塗ることにより防蟻の効果があるそうです。実際にお家をたれられるお施主さんの中には自分で出来るところはといって一緒に作業をされる方もいるそうです。出来上がったときにはひとしおです。

 

均一に塗るのが難しい

場所をかえて移築先の現場見学です。

ここに移築されます

白いシートで覆われているところが基礎になります。
これからこの上に家がどんどんと姿を現し建っていきます。あいにくこの日はとても寒く雨もぽつぽつと降っていましたが、中央に見えているのが敷地内にある枝垂桜のひとつになります。

 

第2回  - 建方・上棟 民家の建方見学 ―

第2回目は建方・上棟の見学です。

骨組みができ屋根ができています

外観はブルーシートに覆われて足場が組まれています。

さっそく中に入ってみると、前回工場で見たきれいに手入れをされた木材たちが組みあげられ建物の骨組みができあがっていました。

なかなか見れない屋根の裏

 

骨組みの状態なので見上げると屋根裏までがとても高く感じます。壁はこれからなので今はブルーシートが壁代わり。

とても大きくてりっぱな梁がかけられています。自然なきれいなアーチ状になっています。

とってもりっぱ!

こちらはケヤキの大黒柱。ぱっくり亀裂が入っているのは背割りといってわざといれてあり、これによってひび割れを防ぐことができます。それにしても立派です。

これであったかい

床下には断熱材が吹き付けられています。この上に合板が張られ床が出来てきます。いよいよ次回は壁ができてきます!もっと家の雰囲気が出てくるのでどのように変化するのかとても楽しみです。

 

第3回  - 造作・職人の技 ―

玄関

今回は造作ということで職人さんの技をみてきました。
まずは玄関。前回に比べて建具も取り付けられ「家」にグーンと近づいています。

田空間工作所で立てられたものや、家具には茄子の印が入っています。これは玄関の扉の引き手。茄子のモチーフの理由は「ことを成す」から由来しているそうです。もちろんこちらも手作りです。

なす 成す

職人さんの腕が必要になるのが曲がった梁にきれいに沿うように壁や建具を納める下地材や、建具枠をぴったりに造ることです。これは梁の形がひとつひとつ違うため現場でその形に合わせたものをあつらえていきます。この細かくて繊細な技ができる大工さんも今は少ないそうです。
田空間工作所ではこの技術を若い世代へと受け継ぐことにも力をいれていました。

匠の道具

 

こちらは壁の断熱材です。
新建材をつかっていて元は新聞紙でできていますが耐熱性がとても高いそうです。
ローコストも考えながら、自然への配慮も忘れずに建物に使う素材が選ばれています。

壁の断熱材

この「高森の家」の魅力の1つ、薪ストーブが設置されることです。

薪ストーブから出る暖かい熱を循環させるダクト

薪ストーブの熱をダクトに通して床下へと送るものです。見た目もステキな薪ストーブですが、電機やガスなどの暖房器具と違い家全体が温まるのがうれしいです。

どの色があうかな

最終仕上げに塗装を床や壁などにします。こちらは全体の色あわせを行うための色見本。

いよいよ次回は最終回で完成になります。
ちょうど季節は桜が咲く頃。天気もよくてきれいな桜の花と生まれ変わった古民家がみられます。

 

第4回  - 仕上げ・竣工  –

玄関につながる石畳を進むと赤い枠の玄関扉に迎えられます。

中に入るとすぐに薪ストーブ。
薪ストーブを囲みながらお客さんが来たらすぐにあがってくつろげる暖かな空間です。

上を見上げると2階が見えます。

階段を上がると・・・

かなり広いスペース。アトリエにもできそうです。

ちょうど2階の真下の部屋。

家具も手作りの暖かさが伝わってきます。

こちらはキッチンの高窓。

外から見るとこんな感じです。

こちらは「桜の間」
畳の部屋になっており窓からは高森観音堂が望め大きな枝垂桜も眺められます。

高森観音堂の枝垂桜 樹齢推定250年の巨木。


「ひとりの間」 トイレになります。
照明もフードのガラスがきれいに光を透過してきれいな光が空間にひろがっています。

 お風呂も木の香りでいっぱい。

完成見学会の時に偶然にも、もとの民家の持ち主の方とお会いできました。
「おじいちゃんが建ててくれた家がこんなにきれいに素敵にうまれかわって本当にうれしい」とお話ししてくれました。
以前のお家は養蚕用につくられ居間15帖もあり、いろりを焚いて生活をしていたそうです。
建物も古くなり、自分たちで家を取り壊そうと解体をはじめたところ屋根に取り掛かり始めると高さもあり、屋根の解体がとても大変だったところ田空間設計の社長 関さんにひきうけてもらうことになったそうです。

 

こちらは外観。

この地域の民家のつくりには屋根に「おきちり」とよばれる雪止めの板が取付けられているそうです。まわりの民家や、自然との調和が考えられている外観の仕上げになっています。屋根の棟に見えている板が「おきちり」です。
基礎のコンクリート部分は建築基準法により立ち上がりの高さが決められています。そこでコンクリートが直接見えてしまうところには古民家の外観を損ねないように仕上げが工夫されています。
自然と人の生活が一体となり、四季を感じられる古民家が完成しました。
木を大切に想う作り手により何十年後にも残り、そして引き継がれていく家が新たに生まれました。
またこの家も永く愛され引き継がれていくものになるでしょう。

高森の家をご担当された本城将道さんは就職で長野県の長門町にくることになり、木に携わる仕事をはじめることになったそうです。縁があって木に導かれるように諏訪の地に移り住み、田空間工作所で古民家の建築に携わっています。

木の温かみや民家のことを語る本城さんは目を輝かせてお話してくれました。諏訪にある会社までは自転車で通勤。雪の中を上手に乗りこなしている高校生をみると冬用スパイクタイヤをはいているのかと思ったそうです。最近では雪道も上手に自転車を乗りこなし、すっかり諏訪人になっています。

 

 

 

有限会社 田(でん)空間工作所

▼本社/ GARARIE DEN(ギャラリエ・デン)

〒392-0003 長野県諏訪市上諏訪13187-1
TEL.             0266-58-6602       / FAX 0266-58-6702

http://www.lcv.ne.jp/~denkukan/

 

 

 

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